「がね」じゃない |
鹿児島生まれのMちゃんより、がね
という食べものについて聞く。
がねとは、さつまいもを千切りにして小麦粉を
混ぜて油で揚げたもの。
形がカニに似ていて、カニのことを
鹿児島弁でがねと言うから。
「鹿児島に帰った時、がねを作ろうとしたら
私の好きな黄金千貫(コガネセンガン)がなかった。
安納芋にとって変わっていた。その方が売れるらしい!」
と、憤慨するMちゃん。
Mちゃんは違いのわかる女だ。本物のわかる女だ。
Mちゃんの言う、がねという食べものを想像レシピで作ってみた。
さつまいもがなかったので人参で。
実に素朴な味。
出来上がった人参がね写真をMちゃんに見せる。
しばらくジッと見た後、「違う。これはかきあげです」と、言う。
がねというのはね。
もう、安っぽい味なの。さつまいもをガーっと千切りにして
たまねぎもガーっと千切りにして、砂糖をポイと入れて
小麦粉をガーっと入れて、ガーっと混ぜて団子みたいにして揚げるの。
法事なんかでおばちゃん達がわんさか作るの。
で、帰りにビニール袋に煮物やなんかと一緒に入れて
持ち帰るの。がねはね、法事の味。
そう、Mちゃんは愉しそうに話す。
つがね食堂 ママン