カーラジオから流れて来る
「世界に一つだけの花」を聴きながら、
ケッ、と舌打ちをする。
私にとっては、あざとい歌詞にあざといメロディに
聴こえるその歌を聴くたびに
心の中で、ケッ。
どのくらい昔だろうか。
高円寺で、友人たちとカラオケ屋に行き
韓国人の心優しきJ君が、
日本語で「世界に一つだけの花」を
歌った夜がある。
心をこめて歌うJ君の姿に、なんとも言えない気持ちになり、
一緒になって手拍子しながら口ずさんだ、
そんな夜を思い出す。
そんな事を、ふと車の中で思い出し、
うっかり口ずさんでしまいそうになる口元を
ギュッ、と
一文字にひきしめた。
つがね食堂 ママン