通夜の始まる前日、友の亡骸が
安置されている部屋に座っていると、
友の勤め先の上司がやって来て、亡骸と対面する。
男の上司は、友の亡骸を前に、
無言で、声をあげて男泣きに泣く。
私は唖然として、ただその様子を見守る。
男の上司は、ひとしきり声をあげ泣いた後、
家族に言葉少なに声をかけ、部屋を後にした。
男の上司は何も語らなかったけれど、
どれほど彼女を信頼していたか。
どれほど彼女は職場で活躍していたのか。
どれほど彼女が仕事を大切にしていたのか。
言葉でなく、その涙で分かるものなのだな…
と、そんなことを感じたのでした。
つがね食堂 ママン