2020年4月27日月曜日

土を掘る


この大きなお屋敷に引っ越して来て
もう3年が過ぎました。

まだ食堂を始める前のある日、
両手にのる位の大きさの
深緑色の鳥が固くなって死んでいるのを見つけ、
その時は、鳥インフルエンザか?と
ちょっと畏れながらも土を掘り
死んだ鳥を埋めました。

先日の事。
パソコン仕事をしていると、
ドン!と何かぶつかる大きな音がするので
振り返り窓の外を見ました。
窓硝子まで近づくと、
羽毛と黄色い汁が硝子にへばりついていました。
これは…
と、思い外にでてしばらく探すと、
片手をいっぱいに広げたらのる位の
深緑色の鳥が倒れていました。
丁度3年前に固くなった鳥を
見つけたのと、だいたい同じ場所でした。

謎がとけました。
庭で固くなっている鳥は、
窓硝子に激突して死んでしまったのだ。

私は、鳥のサイズを大体にはかり、
庭のいい場所に土を掘ります。
スコップに鳥を乗せると
目を開けたまま、まだ
固くならずにぐにゃっとしています。
生き返るだろうか…と、
しばらく見ていましたが、
どうやらそんな事もなさそうなので、
掘った土の穴の中に入れ
浅く土をかけ
「かわいそうな事だったね」と
声にだして、短いお弔いを終えました。

前回も今回も、土を掘り死んだ
生き物を穴に埋める時に、
いつも富士日記(武田百合子著)を思い出します。
百合子さんが愛犬を土に埋める
あの場面をいつも思い出します。
深い穴を掘り、死んだ犬を埋め
「ポコ、早く土の中で腐っておしまい」と言い、
どんどん土をかけて、かたく踏んでやる
あの百合子さんを新鮮に思い出します。



つがね食堂   ママン